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050対談-8(ゼロ・ゴ・ゼロ2011年3月号)

とくしま業界人本音トーク

へえ~そうなんだ!?  第八回 弁護士  浅田隆幸さん

文:新居篤志 イラストレーション:藤本孝明

 

人の心に土足で踏み込むことを使命とする不肖コピーライター新居篤志が、徳島で頑張るいろんな業界の面々に、飾らない本音を聞き出す連載対談シリーズ。第八回は、油絵と音楽を愛する正義の味方、浅田隆幸さんの登場です。

 

 

正義の味方は、眠らない。

 

 

新居:最近は弁護士さんが余ってるって聞きます。年収も落ちてるそうですが、本当ですか?

浅田:年収どころじゃないです。就職先がないんです。苦労して国家試験に通っても、受け入れる事務所がないのが現状です。需要がないところに供給を増やすと、こうなるのは当然です。

新居:でも先生の事務所は相変わらずお忙しいようですね。

浅田:はい、おかげさまで仕事は減っていません。

新居:ということは、がっぽがっぽ儲かってますか?

浅田:いや、この仕事は新居さんが思ってるように儲からないんですよ(笑)。

新居:またまたあ(笑)。時間単位の報酬だから儲かる気がするんですけど。

浅田:それ相談料のことですけど、うちは30分で5,250円です。あとは着手金と目的達成金というのがあるんですが、目的達成金は裁判で勝たないと貰えませんし。

新居:30分5,250円?意外と安いですね。何万円単位かと思ってました。

浅田:よく言われるんですけど、そんなもんなんですよ。新居さんだったら秋田町で一時間飲む方が高いでしょ(笑)。

新居:○○ちゃんの店でボトルキープしたら2万ですからね・・・。ってそんなことはおいといて(笑)。弁護士の一日ってどんな感じなのでしょうか。

浅田:朝9時頃に出勤して依頼者との面談を5~6件。その間に電話を何十本か受けて、こちらから何十本かかける。夜になると文書の作成、夜中に事務所を出る・・・という感じです。

新居:まさに分刻みですな。土・日はお休みですか?

浅田:土・日も事務所に来ることが多いです。平日にできなかった原稿を書いたり。

新居:それキツイっすねえ・・・。開業されて何年ですか?

浅田:30年ぐらいです。

新居:やっぱり慣れるもんですか、そういう激務も。

浅田:慣れたっていう感覚は無いですねえ。今でも仕事の夢を見て寝言を言ってるらしいです。

新居:どんな寝言ですか?

浅田:「これマズいんちゃうか?」とか、だいたい悩んでる感じの寝言。僕は覚えてないんで、妻の証言ですけど(笑)。

新居:寝てても仕事してるって感じですか・・・。どのくらいの頻度で見るんですか?

浅田:ほぼ毎日。

新居:げえっ!・・・僕ね、失礼ながら弁護士の日常ってもっと優雅かと思ってました。仕事も趣味もバランス良く、っていうライフスタイルかな、と。

浅田:それも、よく言われるんやけどね、ほんま実態とかけ離れてます(笑)。趣味の油絵、月2回2時間、バンドは月1回2時間とれたら良い方です。

新居:先生、それこそ弁護士雇われたらどうですか?

浅田:うちには、僕以外にもう一人弁護士がいて、事務員さんがいて、事務所の経費もかかります。雇える余裕ないんです、実際。

新居:想像以上にシビアな世界ですなあ・・・。やはり、それでも仕事に邁進するのは、弁護士としての正義感ということでしょうか?

浅田:そうかもしれません。

新居:あの、先生にとって正義って、何ですか?

浅田:法律的にみて正しい者が評価される、ということですね。力があれば勝てる、大きい声の方が勝てる、というのはあってはならないと思うし、何かの力で歪められた人、困ってる人、苦しんでる人を救いたい、というのが僕の基本姿勢です。

新居:弁護士という仕事は、裁判で勝たないと高い報酬を望めないんですよね。

浅田:はい。

新居:どう考えても勝てそうじゃない依頼人が来た場合、どうされるんでしょうか。

浅田:やめといた方がいいです、って言葉を尽くして説得します。

新居:なるほど。でも逆に、勝つ為なら、金儲けの為なら手段を選ばない、という弁護士もいるかもしれませんよね。

浅田:残念ながら、そうだと思います。最終的には、自分の中にどういう規範を持って、どう律することができるか、というのがその弁護士のスタイルだし品格なんだと思います。

新居:先生、それ実にかっこいいです!僕もそのフレーズ使わせて頂きます。

浅田:どうぞ(笑)

新居:例えばですね、僕が離婚したいとします。でも慰謝料は1円も払いたくない。こういう相談のってくれますか?

浅田:新居さんが離婚ですか・・・うーん・・・。

新居:内情を聞く前に、やはり悩みますか(笑)。

 

 

 

対談後記

毎年、浅田先生よりいただく年賀状と暑中見舞は、先生が描いた油絵がビジュアルになっていて、ロックがモチーフの時もあった。ちゃんとお話したことがなかった僕は、先生のことをかなり誤解していた。この対談で、弁護士という仕事の肉体的・精神的ハードさを思い知らされたし、同時に業界は違えど、自由業の心構えというものも教えていただいた気がする。「リタイアしたら、頭も心の中も空っぽにして油絵や音楽を楽しみたい」と言う先生。「でも、あと10年くらいは頑張る」とも。いらぬ相談で先生にご迷惑をかけぬよう、我が身を律して生きていこうと密かに思った次第。

 

 

◎Takayuki Asada

昭和26年阿南市生まれ。昭和57年弁護士業務開業。平成11年度徳島弁護士会会長。民事・刑事の一般法律事務(訴訟・調停・示談交渉)に携わる傍ら、子どもの人権問題、非行少年の更生などにも尽力。ご相談はこちら:浅田法律事務所(市内徳島本町 Tel.088-653-5676)。

 

 

 

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