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050対談-11(ゼロ・ゴ・ゼロ2011年6月号)

 とくしま業界人本音トーク

へえ~そうなんだ!?  第十一回 徳島経済研究所  田村耕一さん

文:新居篤志 イラストレーション:藤本孝明

 

人の心に土足で踏み込むことを使命とする不肖コピーライター新居篤志が、徳島で頑張るいろんな業界の面々に、飾らない本音を聞き出す連載対談シリーズ。第十一回は今をときめく「とくしまマルシェ」の仕掛け人、田村耕一さんの登場です。

 

 

アッと驚く、為ならば~

 

新居:徳島経済研究所というのは、その名のとおり徳島の経済を研究している所だと思いますが、具体的にはどんなことをやってるんでしょう?

田村:いわゆるシンクタンク*でして、自主的に地元経済に関する調査研究を行い、その成果をマスコミを通じて発表したり、行政や企業などに提言もしております。

新居:自主的にされているわけですか?

田村:そうです。民間シンクタンクは、行政や企業から発注された調査テーマも受託するというのが一般的ですが、ここは阿波銀行が90周年記念事業で地域に貢献するため、全額出資してできた公益財団法人でして、研究員各々がすべて自分でテーマを考えて活動しています。地元経済の活性化に貢献する、という阿波銀行の経営理念の一環で、ここが成り立っているわけです。

新居:僕の中であわぎんの株、ちょっと上がりました(笑)。・・・ところで、「とくしまマルシェ」順調ですよね。

田村:おかげさまで、昨年末のオープンから5回ほど開催されましたが、平均15千人の来場者ということで、期待以上に盛り上がってます。県外からの視察の問い合わせや、旅行会社からの取材もガンガン増えてます。

新居:ひとつ不思議に思ったのが、田村さん、とくしまマルシェの実行支援委員長をされてますよね。普通シンクタンクの方というのは、提言で完了というイメージがあるんですが、運営まで参画してるという・・・。

田村:確かに普通のシンクタンクというのはそうですよね。ただ私の目標として「行動するシンクタンク」というのがありましてね。せっかく良い研究成果を発表しても、それが実現されないと意味がないじゃないですか。具体的なカタチになるまで見届けてこそ、本当の意味での貢献につながると思っています。徳島LEDアートフェスティバルも全く同じ考え方ですね。

新居:素晴らしい話やと思います。一市民としてこんなことができたらええなあ、と漠然と思うんですけど、どうしてええか分からんし、行政主導でやることってだいたいピントがズレてたり、ダサかったり・・・。そういえばマルシェもLEDアートも、きちんとデザインがされててお洒落感がありますよね。ああいうの地方では奇跡的だと思うんです。

田村:平成9年に初めて徳島に来たんですが、徳島ってお洒落な街だなあって正直に思いました。しんまちボードウォーク、ケンチョピアなんかは日本いや世界に誇れる景観ですよ。農産物やLEDだってそうですし、徳島にはいっぱい魅力があると思ってるんですが、そのほとんどが県外に知られていないんですね。で、それを情報として発信する時に、無味乾燥に普通の見せ方をしたらやっぱりダメだと思うんですよ。

新居:分かってますなあ~

田村:例えば地元経済の研究報告書だってね、全国でつくられているわけですが、表紙を見る限りどれもほとんど似たり寄ったりで無個性なんです。そうするとね、内容うんぬんの前に読もうっていう気にならないんですよ、残念ながら。なので、当研究所の出版物はデザインにもこだわってます。

新居:そういう感性の方が、徳島経済研究所の専務理事という立場でいらっしゃることも奇跡的です。田村さんのお洒落志向というか、見せ方にこだわる志向って、やはりご自身独自のものだと思われますが、なんか思い当たることはありますか?

田村:そうですねえ。強いて言えば、若い頃からクレイジーキャッツの大ファンでした。

新居:は?

田村:今の若い方々には、ただのお笑いグループっていうぐらいのイメージかもしれませんが、私たちの世代にとってはね、みんな一流のジャズマンでありながら面白いことを飄々とできる粋な人たちという見え方でね。お洒落だなあってずっと憧れてました。

新居:すんません、ステテコとちょびヒゲしか浮かばないんで、なんか分かるような、分からんような気分です。スーダララッタ、スラスラスイスイスイ~でしょ?

田村:「はい、それま~でよ~」とかね。クレージーの正装は上下白のスーツ、白い靴に黒のリボンタイです。お洒落でしょ(笑)。

新居:まあ、よく分かりませんが、お洒落さは偉大であるということで、これからも徳島の経済活性化プロジェクトの実現、期待しています。

田村:「アッと驚く、為五郎~」って感じでいきましょう(笑)。

新居:すんません、ほんまよく分かりません(笑)。

 

*シンクタンク:各種研究・調査に基づき、政策立案・意思決定の分析等を行う機関

 

 

対談後記

「農業ビジネスの活性化、お洒落な産直市による県外観光客の誘致、中心市街地の活性化。一石三鳥を狙ったのが、とくしまマルシェ」なのだそうだ。おいしい話を創れる人はたくさんいるが、それを具体的に実現できる人は、なかなかいない。行政と民間の間に立ち、八面六臂の活躍をしてきた田村さん。その手腕と感性を後進の皆様にもぜひ引き継いでくださいと言ったところ、「まだ60歳ですからね、『お呼びでない』と言われないようにやっていきますよ!」と頼もしいお答え。対談後、YOU TUBEを見てクレイジーキャッツの勉強をしたが、やはり僕にはそのお洒落さが分からないのであった。こりゃまた、失礼いたしました!とさ。

 

 

Koichi  Tamura

昭和26年高松市生まれ。昭和48年日本銀行に入行、平成9年徳島事務所長に就任。平成15年に退職後、徳島経済研究所専務理事に就任。「行動するシンクタンク」を標榜し、とくしまマルシェ、徳島LEDアートフェスティバルをはじめ、徳島経済の活性化に貢献すべく、多方面で幅広く活躍中。