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我流-3

新刊が出たらとりあえず買う作家 というのが二人いて 

そのうちの一人 沢木耕太郎の「ポーカー・フェース」を読んでいる

アマゾンで買おうとしたら ユーザーの書評みたいなのがあって

要約すると 「ぱっとしない」「前作を超えていない」

という感じのことが書かれていた

一瞬 買うのをやめようか と思ったりもしたんだけど 

これまでの 我が流れ に従いました

 

このエッセイは シリーズと言われている

既刊「バーボン・ストリート」「チェーン・スモーキング」

よりも面白いし 優れていると 僕は思う 

単純に 買って良かった

言葉もテーマも 前作より熟成され 洗練されている

沢木さんも そのことを第一話から やんわりと示唆している

 

沢木さんの若い頃の文体は 僕からすると なんというか

「トゲトゲして痛いなあ」と感じるところがあった

もちろんそれも含めて いいなあと思ってたわけだけど

 

その「痛さ」は 若気のいたり みたいなもんで

「ひっかかり」を与えたい という青い意識の産物だったのだろう

年を取ると 逆にそういうのは どんどん どうでも良くなって

昨今は 洗練をいさぎよしとする みたいな意識だと想像する

 

僕が書いた拙いコピーを 建築家の知人N氏が

「すっきり感がある」と評してくれたことがあって 

うれしかった記憶がある

「すごいだろ!」とか「こんな言い方どう?」 

みたいな文章って やっぱり どこか 鬱陶しい

 

 あらためて そう思った 今日でした