民間企業との種々のやりとりは 契約書を交わさずとも守秘義務があると思うが
行政との仕事のやりとりは 公共サービスの母体ゆえ むしろ公開した方が健全と考える
今週頭 まことに残念ながら 次期「とくしまマラソン」の制作を辞退することとなった
僕が提出したコピー案を 一部変更(改ざん)して進める と宣言されたからだ
こういう場合 その変更理由が納得できれば 僕はあっさりと受け入れる
しかしどうしても納得いかない場合は 辞退する
辞退は 他のチームメンバーに迷惑をかけるし
金銭的なダメージも被る(基本的にギャラはゼロになる)
僕が提出した案
「走る阿呆は、とまらない。」
に対して
「走る阿呆は、とめられない。」
にするという 内部事情の真実はわからないが 知事の判断だという
この言葉の違いが 分からないこと自体 政治家としての言語センスを疑うが
それはさておき 担当者の指示にしたがって 以下文書を提出した
----------------------------------------------------------------------------------------------
「とまらない」と「とめられない」の相違について
1:「とめられない」には、より強いネガティブな意志がつきまといます。
つまり「とめたいのに、とめることができない」という印象になります。
従って「走る阿呆は、とめられない。」という言葉には、
走る阿呆をとめたいのだけれど、とめることができない・・・という印象を孕みます。
肯定形「とまる」と「とめる」の意味の違いを大辞林から抜粋します。
【とまる】
◎動いていたものが動かなくなる。
「時計が―・る」「特急の―・る駅」「エンジンが―・る」
◎続いていたものが続かなくなる。通じていたものが通じなくなる。
「成長が―・る」「道はそこで―・っている」「水道が―・る」
【とめる】
◎継続しているものを続かなくさせる。とだえさせる。
「息を―・める」「痛みを―・める」
◎やめさせる。制止する。
「けんかを―・める」
2:「やめられない」の類義語(姉妹語)は、「とめられない」ではなく「とまらない」です。
かつて一世風靡した「かっぱえびせん」のコピーは、
なぜ「やめられない、とまらない」だったのでしょう。
もし、「やめられない、とめられない」であったらどうでしょう。
その理由は、語の納まりが不安定であることと、
1で記載したネガティブな印象が発生するからです。
3:「走る阿呆」とは、「ランナー」と「本大会」のことを指すコピーです。
「とめられない」のは、「ランナーの意志」であり「本大会の進化」です。
「とめられない」を仮に用いるとしたら、たとえば、
「走る阿呆の進化は、とめられない。」となります。
これであれば、嫌悪感やネガティブな印象は発生しません。
しかし、キャッチコピーとしては平板で陳腐なものとなり、
インパクトも訴求力も全くありません。つまり、コピーとして成立しないのです。
----------------------------------------------------------------------------------------------
また 依頼はなかったが 当初提出したコピー2案が
すべてNGになったという想定で 追加4案を提出した その案は省略
結局 知事の判断は覆ることなく 僕は辞退した
同時に 僕の意見に賛同いただいた他のチームメンバーも 辞退となった
結果は受け入れるが 納得はしていない
相手が民間企業なら 心身をアルコール洗浄して終了とするが
今回は気持ちが納まらないので 県庁HPの「目安箱」に以下文書を投稿した
----------------------------------------------------------------------------------------------
「とくしまマラソン2012」キャッチコピー決定プロセスに関する質問
この度、「とくしまマラソン2012」のキャッチコピーを
提案させていただいた新居篤志と申します。
紆余曲折ありまして、 本日「白紙にします(当方が仕事を辞退)」という
連絡を受けました。
これにつきましては、決定事項として真摯に受けとめております。
ただ本件のようなことが、今後おこらないように、
また若い制作者へのメッセージとして、 以下3点質問させていただきたいと思いました。
お手数ですが、ご回答いただきますようお願い申し上げます。
■質問1
私が作成したキャッチコピーより、
知事が改ざんした文章が優れていると思われる理由を
分かりやすく(論理的に)ご説明願います。
私の意見は、担当者にすでに提出済みです。
■質問2
著作物を改ざんして世に出すことについての
道義的な責任について、お考えをお聞かせください。
*キャッチコピーは著作物として法的な保護の対象外であることは認識しております。
■質問3
今回の決定プロセスにおいて、
担当職員様は仕事内容の質や正当性を客観視することなく、
知事の感覚を判断基準とされました。 担当職員様の目線は、
県民の利益ではなく、 終始、知事および組織に向けられていたと思われます。
この職務姿勢は、行政サービスの根幹を揺るがしかねないと思いますが、
この点につきまして、どのような認識をお持ちでしょうか。
以上、記載内容につきまして、 不明瞭な点などありましたらご一報いただければ幸いです。
返信、お待ちしております。乱文失礼いたしました。
----------------------------------------------------------------------------------------------
今日で4日目になるが 返信はまだ来ていない
来なければ来ないでいいが
ここまで書いて ようやく 本件が終了した感覚を覚えている