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Sat December 10, 2011 [ Comments: 0 ]
050対談-9(ゼロ・ゴ・ゼロ2011年4月号)
とくしま業界人本音トーク
へえ~そうなんだ!? 第九回 (株)アスペック 石井 清さん
文:新居篤志 イラストレーション:藤本孝明
人の心に土足で踏み込むことを使命とする不肖コピーライター新居篤志が、徳島で頑張るいろんな業界の面々に、飾らない本音を聞き出す連載対談シリーズ。第九回は、ニッチビジネスの鬼才、石井 清さんの登場です。
お宝は、裏路地にある。
新居:石井さん、ネット通販でブイブイ言わせてるって、もっぱらの評判です。
石井:いえいえ(笑)。ネットの売上げはまだまだ全体の25%ぐらいです。けど、伸びているのは確かです。
新居:石井さんは何屋さんって言えばいいんですかね。
石井:それ、いつも説明し辛いんですが、固く言うとセールスプロモーションの企画・制作・販売。平たく言いますと、Tシャツからのぼり、フラッグ、オリジナルグッズ類、最近ではお客様のホームページを作ったりと幅広くやらせてもらっています。
新居:とっても真っ当なお仕事なんですが、なんでしょうね・・・石井さんに漂う独特の怪しさは(笑)。
石井:見た目でしょうね(笑)。
新居:若い頃はハウスマヌカン・オムだったそうで。
石井:そうです。DCブランドショップで店員をしていました。その頃は175cm60kgでしたけど(笑)。
新居:ファッション系の仕事から今のお仕事に辿り着いたいきさつを教えてください。
石井:学生の頃からファッション、インテリア、家具、家電、通信機器とデザイン性に優れたモノに興味がありました。それと、子どもの頃から書道やレタリングといった「つくる」ことにも興味があって・・・。そういうことも含めて、自分の性に合う仕事をしようということで一念発起して独立を決めました。
新居:ホームページを拝見してびっくりしたんですけど、いろんなサイトをやられてますね。例えば「手作りうちわ.com」。うちわの骨とパソコン用印字シートだけを売ってるんですよね。この目の付け所、すごい。
石井:オリジナルうちわを作ってくれる会社は他にもありますが、お金をかけずに自分で写真や絵柄を工夫してオリジナルのうちわを作りたいと思ってる人、案外多いんじゃないかなと思ったんです。僕がもし今学生だったら、骨だけ買いたいって思うだろうし。
新居:これ、バカ売れでしょ。
石井:おかげさまで(笑)。
新居:あとね、Tシャツでもクラス用、スタッフ用、イベント用と3つのサイトがあります。この辺に、石井さんらしさが光りますよね。
石井:オリジナルTシャツというのは、業界では王道アイテムなんですが、普通に売ったら大手には敵わないんです。だから、オリジナルTシャツを作りたいと思う人の目線から、どれだけ早く「これこれ!」って思って貰えるか、ということを考えてとりあえず3つに分けました。
新居:なるほどねえ。
石井:例えば、新居さんが帽子を売りたいとします。これを洋服店の中で売るより専門店として売った方が売れそうな予感はしますよね?
新居:はい。
石井:でも、お洒落な帽子とかこだわった帽子は、すでにいっぱい専門店があって売られているわけです。そこで、もう一歩踏み込んで発想を広げると、イベント用に帽子を作りたい人がいることに気づきます。そういう人にとって買いやすいお店はどういう店構えか、と考えていくんです。思いっきりターゲットを絞り込むことになるわけですが、ネットという特性にはその方が合うんですね。
新居:まさに「ニッチ」ということですね。
石井:そうです。大きな資本もいらない、自分の売りたいモノを自由に提案できるというのがニッチビジネスの魅力だと思っています。
新居:とても興味深い話です。ところで石井さん、ネットショップ以外にも「裏路地ネット徳島」っていうサイトもやってますよね。
石井:はい。県外出張に行くと、夜一人で落ちついて飲める店に行きたくなりますよね。気の利いた料理と味のある女将さん、で予算3,000円みたいな(笑)。そんな店ってね、たいがい裏路地にあって、なかなか出会えないもんなんです。だからサイトにして紹介しようと。徳島の魅力を僕なりに紹介して、少しでも街に貢献したいという気持ちもありまして・・・。
新居:路地裏の良店とニッチな商品、なんか共通しますよね。表通りから隠れた狭い道端に、ピカッと光るお宝が落ちていた、って感じで。
石井:そうです、そうです。そういうの僕は無性にワクワクするんですよ。
新居:今ね、石井さんのキャッチフレーズ、浮かびましたよ。
石井:はい。
新居:「笑うせえるすまん」良い人バージョン。
石井:どうしても、怪しさはぬぐえないんですね(笑)。
新居:ごめんなさ~い(笑)。
対談後記
「迷彩服.com」「手拭い屋.jp」「選挙グッズ.com」「薪市場.com」・・・。石井さんが運営するサイトは30店にものぼる。「全部が当たっているというわけではないですが、気長に待つというのも必要」らしい。今の成功に至るまでには、様々な失敗や苦労もあったのだという。商品を売る、ということはやはり並大抵ではないし、アイデアが良ければうまくいく、ということでもないのだろう。最後に、ネットビジネスに必要なものは何ですかと尋ねたら、「情熱を持ち続けること」というお答え。ニッチビジネスの鬼才は、あくまでも消費者の感性を大切にし、日夜「これだ!」と膝打つ瞬間を追い求めている。
◎Kiyoshi Ishii
昭和39年美馬市生まれ。アパレル関係の会社を経て2000年独立開業。2002年法人化、2006年株式会社アスペック設立。徳島商工会議所青年部、徳島ニュービジネス協議会会員。石井さんが作り出すめくるめくニッチ・ワールドに触れたい方はこちら(http://aspec-inc.com)。