Thu September 24, 2009 [ Comments: 0 ]
陸上部 Ⅲ
今は「市」となってるが、当時は「郡」。
郡内に数校の中学校があって、
「郡陸上競技大会(呼称:郡陸)」というのがあった。
運動部の枠を超えて、各校選抜の精鋭が一堂に揃う年に一度の大会。
陸上部の悪ガキどもも、この大会だけには一目を置いていた。
全校生徒が応援にくる、目立てる、ヒーローになれる、
という3段論法である。
郡陸に出られるのは各種目2名。大会1月前に校内予選会があって、
野球部、サッカー部、バスケット部、テニス部の強者どもに勝たねばならない。
本来なら専門職である陸上部が勝って当然なんだけど、
運動能力の高いヤツは何でもできるわけだし、他の運動部はオレたちと違って、
日々の練習にもハンパ無く気合いが入っいたから、悪ガキどもはビビっていた。
予選会1週間前、出走メンバー・リストが掲示された。
いきなりの想定外で、身内から強豪が出現する。
陸上部の副キャプテンM君。彼は400mを得意としていたが、
どういう気の振れようか、800mにエントリーしてきた。
(後で分かったのだが、Sキャプテンが400mにエントリーを入れていたのだ。
100m、200mでは「郡記録」を作れないと思ったキャプテンは、
思い切って400m、800mに転向を図ろうとしていた。
練習をサボってたオレは、そんな状況を知らなかった)
そして、サッカー部のK。小柄だけど機敏なヤツで、
サッカー部で一番瞬発力があると言われていた。
さらに、バスケット部のM。スラッとした長身の男前。
廊下を歩くだけで女子にキャーキャー言われるようなヤツ・・・。
「コイツだけには、絶対負けられん」
掲示板の前で、オレの目は、星くんのように燃えていたと思う。