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陸上部 Ⅲ

今は「市」となってるが、当時は「郡」。

郡内に数校の中学校があって、

「郡陸上競技大会(呼称:郡陸)」というのがあった。

運動部の枠を超えて、各校選抜の精鋭が一堂に揃う年に一度の大会。

陸上部の悪ガキどもも、この大会だけには一目を置いていた。

全校生徒が応援にくる、目立てる、ヒーローになれる、

という3段論法である。

 

郡陸に出られるのは各種目2名。大会1月前に校内予選会があって、

野球部、サッカー部、バスケット部、テニス部の強者どもに勝たねばならない。

本来なら専門職である陸上部が勝って当然なんだけど、

運動能力の高いヤツは何でもできるわけだし、他の運動部はオレたちと違って、

日々の練習にもハンパ無く気合いが入っいたから、悪ガキどもはビビっていた。

 

予選会1週間前、出走メンバー・リストが掲示された。

いきなりの想定外で、身内から強豪が出現する。

陸上部の副キャプテンM君。彼は400mを得意としていたが、

どういう気の振れようか、800mにエントリーしてきた。

(後で分かったのだが、Sキャプテンが400mにエントリーを入れていたのだ。

100m、200mでは「郡記録」を作れないと思ったキャプテンは、

思い切って400m、800mに転向を図ろうとしていた。

練習をサボってたオレは、そんな状況を知らなかった)

そして、サッカー部のK。小柄だけど機敏なヤツで、

サッカー部で一番瞬発力があると言われていた。

さらに、バスケット部のM。スラッとした長身の男前。

廊下を歩くだけで女子にキャーキャー言われるようなヤツ・・・。

「コイツだけには、絶対負けられん」

掲示板の前で、オレの目は、星くんのように燃えていたと思う。