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陸上部 Ⅳ

次の日から、オレは秘密自主トレに励んだ。

自宅の周りに、約400メートルの周回コースを設定し、

放課後、一人で黙々と走った。

今さら、カッコ悪くて練習に参加できなかった。

他の悪ガキどもも、どうやら同じことを考えていたようで、

部活練習には出てないようだったが、

顔は日焼けし、身体は日増しに引き締まっているような気がした。

 

もともとスピードがないオレは、「先行逃げ切りのレースでいくしかない」

と思っていた。最初の400mを60秒以内で走り、

後はどれだけ持ちこたえられるかの勝負だと思っていた。

全力疾走とジョグを繰り返しておこなう、インターバルという練習方法があって、

毎日、それを20本目標にして走り続けた。筋トレ・ストレッチにも手を抜かなかった。

 

予選会当日。

オレは、「副キャプテンさえ抜けるんじゃない?」

ぐらいの自信を手に入れていた。

スタートラインに立った残り7名を見ても、ビビらなかった。

となりのサッカー部Kが、不敵な笑みで耳打ちしてきた。

「秘策があるけんね、へっへっへ・・・」。

こんな半パンをズラしたようなサッカー野郎に負けてたまるか、バーカ。

と思いつつ、「へえー、やるやん」とクールに答えた。

 

若い体育教師が「位置について!」とおもむろに、声をあげた。

「ヨーイ」

ここで、信じられないことが起こった・・・。