Thu September 24, 2009 [ Comments: 0 ]
陸上部 Ⅳ
次の日から、オレは秘密自主トレに励んだ。
自宅の周りに、約400メートルの周回コースを設定し、
放課後、一人で黙々と走った。
今さら、カッコ悪くて練習に参加できなかった。
他の悪ガキどもも、どうやら同じことを考えていたようで、
部活練習には出てないようだったが、
顔は日焼けし、身体は日増しに引き締まっているような気がした。
もともとスピードがないオレは、「先行逃げ切りのレースでいくしかない」
と思っていた。最初の400mを60秒以内で走り、
後はどれだけ持ちこたえられるかの勝負だと思っていた。
全力疾走とジョグを繰り返しておこなう、インターバルという練習方法があって、
毎日、それを20本目標にして走り続けた。筋トレ・ストレッチにも手を抜かなかった。
予選会当日。
オレは、「副キャプテンさえ抜けるんじゃない?」
ぐらいの自信を手に入れていた。
スタートラインに立った残り7名を見ても、ビビらなかった。
となりのサッカー部Kが、不敵な笑みで耳打ちしてきた。
「秘策があるけんね、へっへっへ・・・」。
こんな半パンをズラしたようなサッカー野郎に負けてたまるか、バーカ。
と思いつつ、「へえー、やるやん」とクールに答えた。
若い体育教師が「位置について!」とおもむろに、声をあげた。
「ヨーイ」
ここで、信じられないことが起こった・・・。