Fri September 25, 2009 [ Comments: 0 ]
陸上部 Ⅶ
いよいよ、郡陸が迫ってきたある日、
顧問のMが、廊下でオレを呼び止めた。
「おい、ニイ」
「何ですか?」
「お前、いちおう郡陸の補欠なんやから、ちゃんと練習せんとあかんぞ。」
「・・・」
「お前、補欠にさえ選ばれんかった陸上部のヤツらのことも考えんとな・・・」
「・・・」
なんか、だんだんイライラしてきた。
「ユニフォーム着れるだけでも、ええ思い出やし・・・」
押さえきれなくなったオレは、M顧問の言葉を制した。
「分かりましたよ。補欠なりに練習しますから。」
オレは逃げるようにその場から離れた。
ほんとに、かわいくない、憎たらしいガキだった。
(子に遺伝していないことを切に望む)
M顧問に悪態をついたことを、我ながら反省した。
あのオッサンは、それなりにオレを心配しているんだろうに、
オレは、根性悪いよなあ・・・と。
ただ、だからといって、走る気にもなれず、
相変わらず練習をさぼっては、家で刑事ドラマの再放送なんかをぼーっと見ていた。
しかし、人生は、まことに不思議だ。
あれは、郡陸がはじまる5日前だったと思う。
青天の霹靂のような話が、オレの耳に飛び込んだ。